戦力外通告
私は、買いだめした本を暇がある時にまとめ読みする習慣があるのです
が、マジック関連の本は、以前ほどは読まなくなりました。
年齢のせいなのか、マジックの新しい情報よりも、活躍するフィールドが
全く違う世界の人が書いた本の方が、勉強になったり、考え方や生き様に
共感したりするものです。
で、最近読んだ一冊は…プロ野球「戦力外通告」(洋泉社)
表紙の帯には…突然の「クビ宣告」。「屈辱」「葛藤」を乗り越え、男たち
は第二の人生に挑む!…と書いてあります。
テレビでもドキュメント番組として時々放送されていますが、戦力外通告を
受けた選手がトライアウトに挑んだり、海外に活路を見出したり、甘んじて
限界を受け入れて、一般社会に馴染もうと苦心する姿が生々しく書かれて
います。30代でもベテランといわれるアスリートの世界…マジック界では
まだまだ「若手」と紹介される年代で戦力外通告をされるのは、さぞ忸怩
たるものがあることでしょう。
私も他人事ではなく中高年の一人として、どのように自己実現をしながら
納得できる人生の着地点を迎えるかを常に考えていますし、着々とその
準備はしているつもりです。
この手の本は、どうしてもマジック界と対比しながら読んでしまうのですが、
特に印象深かった部分を紹介します。
第三章…現役時代に巨人とダイエーに在籍していた大野倫選手の例です。
大野氏は、他人を蹴落としてでも這い上がる弱肉強食のプロ意識が低く、
一軍から二軍に落とされて時が経つうちに、「一軍の代打よりも二軍のスタ
メン」に充足感を得るようになってしまったと自己分析しています。
「ファームではレギュラー。しかも四番。チームから頼られる存在な訳です。
そういう立場が3〜4年続くと、たまに一軍に上げられても、正直…嬉しく
ないんですね。またずっとベンチか…」とその心境を吐露しています。
対照的に、ある巨人OBの言葉も記されています。
「やっぱりプロは、毎回試合に出ていなくても、一軍にいてなんぼですよ。」
これを読んで、以前マリック氏が話していたことを思い出しました。
「ブームに乗ってでも、テレビというメディアで名を売った一級のマジシャン
としての自覚があるならば、なんとしてもテレビに出続けなくてはならない。
腕があるのにメディアの露出度が減って、自分は報われてないと感じたプロ
マジシャンは、ついつい自分を認めてくれる環境に身を置いて、安心感を得
ようとするんだよ。」
つまり、一般人を対象としたテレビやショービジネスの厳しい世界のベンチ
要員よりも、自分の凄さを理解してくれるマニアを対象としたマジックコン
ベンションでの四番バッターの方が、居心地が良いということなのでしょう。
確かに、ファームの試合をわざわざ見に来る客って…マニアですよねぇ。
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