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2010年3月

Dr.ZUMA TV出演のお知らせ

   TBS系列 「知っとこ!」
   4月3日(土) 朝7:30〜

※ Mr.マリック氏の紹介によるVTR出演です。
  私の自宅に初めてTVカメラが入ります。
 (ちなみに4月3日は、私の誕生日です。)

  番組HPはコチラ


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鳥の話 19

今回は、バードマジックにおける注意点やトラブルについてです。

鳥に限らず動物を使ったマジックは、出現した際のインパクトは人工物
と比較しても強烈です。意外性があればあるほど効果的であることを
考えれば、これから鳥が出るということを観客に悟られるのは極力避け
たいところです。
その観点に立つと、鳩を出すマジシャンがショーの最初から空の鳥カゴ
をステージ上に置いておくというのは、あまり賛成できません。
(私自身、テレビで「怪鳥マジシャン」と紹介されるのは、これから鳥が
出ることをバラされてる点では痛し痒しの面があるのは事実です)

大型鳥の場合、その鳴き声の大きさは一般の方の想像を遥かに超えて
います。私が注意しているのは出番直前に鳥をセットする際に、観客に
鳴き声を聞かれないようにすることです。出番前に鳴き声が聞こえると、
せっかく出現しても「ああ、あれが鳴いてたのか…」と興醒めさせてしま
います。

劇場では通常はステージの裏に控え室があり、頑丈な鉄の扉で仕切ら
れていることが多いので安心なのですが、ホテルの宴会場の場合は結構
大変です。ステージと控え室は遠く離れていることが多く、時にはフロア
が違うこともあります。遠く離れた控え室で鳥を仕込んでエレベーターに
乗ったり狭い導線を延々と運ぶわけにもいかないので、必然的にステージ
横のパテーションの裏で仕込むことになるのですが、このような環境では
極力おとなしい鳥を連れて行きます。

オウムやインコの大型鳥の個性は、同じ種類であっても様々です。
おとなしい仔もいれば、臆病でギャアギャア鳴く仔もいます。
知能が高く記憶力も良いので、仕掛けにセットする際に怖がらせたり怒ら
せたりすると、ずっと根に持ったりトラウマになったりして、以後ショーに
使いづらい鳥になってしまいます。
焦らずに時間をかけてコミュニケーションをとり、信頼感を得てから本番
デビューさせると、優秀なパートナーとなります。

動物マジックにおいて何より優先しなければならないのは、生命の安全
です。仕掛けにセットして何分以内に出せば安全なのか、入念な検証が
必要です。実際の仕事の現場では、セット後に出番が10〜20分遅れる
ことなどしょっちゅうなので、適切な判断が要求されます。
夏と冬では当然のことながら気温も違います。たとえ冬でもステージ上や
テレビのスタジオ照明はかなりの暑さです。
車に残された幼児が熱中症で亡くなるニュースは痛々しいものです。
あるマジシャンのトラブルなのですが、ワゴン車にペンキ塗りたての道具
と一緒に鳩を積んで、現場に着いたら全て死んでいたという話を本人から
聞いたことがあります。時間をかけて調教した動物を失うのは、精神的にも
営業的にも大きなダメージを被ります。

さて、鳥を出現させて拍手を頂いて終わりにするのが一般的なのですが、
さらに飛ばすのはハイリスク・ハイリターンです。
思いがけずハプニング的に鳩が飛んでしまい、食事中のテーブルに墜落
したり、宴会場の高い所にとまってしまい、会場サイドから顰蹙をかった
苦い経験を持つマジシャンも多いのではないでしょうか。
私もこの手の失敗談を話始めたら、枚挙に暇がありません。
天井の低いナイトクラブでコンゴウインコを飛ばして、灰皿の灰を舞い上が
らせたり、1500万円のシャンデリアに翼が擦ったり、宴会場中央の巨大な
氷の彫刻に鳥が激突しそうになったり…全てのトラブルは自己責任です。

で、私のバードマジックにおける最大の事件は…1997年、関西テレビの
生放送中に1羽の鳥が突然飛び立ち、当時カツラを装着していた山本浩之
アナウンサーの頭に…。
その後、山本アナはカツラであったことをカミングアウトし、関西圏では
一躍有名な人気アナとなりました。
以後も何度か関西テレビでご一緒しましたが、いつもその話で盛り上がっ
たことは言うまでもありません。

お互いに、「災い転じて福となす」の典型例でした。

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発表会を観て

昨日、九州大学マジックサークルの発表会を観て来ました。
告知が遅れたせいか、観客の入りが悪いのがちょっと残念でしたが…。

さて演技の方ですが、自分が学生の頃を思い出し、どきどきしながら
それなりに楽しませて頂きました。
アンケート用紙が配られ、良かったパフォーマーの名前に○印をつける
ようにとのことで、直感的に3人の名前に印を付けました。
それぞれリング、ジャグリング、ビリヤードボール&シルクを演じたわけ
ですが、後から思い出すと、偶然にもリングやボールを落とす失敗を
してしまった3人でした。

物を落とすという失敗は、観客にもダイレクトに失敗したことが伝わる
もので、さぞヘコんだことでしょう。いずれも落とす可能性の少ない
比較的簡単な場面での落下だっただけに悔いが残るかもしれません。

フィギアスケートに置き換えれば分かり易いかもしれませんが、たとえ
転倒しても、その選手のポテンシャルや芸術性が全否定されるわけでは
ありません。全くのノーミスでも点が伸びない選手も多いものです。

私の好きな「戦術と戦略」の考え方をすれば、この3人は戦術的に簡単
なミスをしたに過ぎず、戦略的には決して間違っているとは思えません
でした。現に大きな拍手を得ていたような気がします。
プロ・アマ問わず深刻に考えなければならないのは、これといった失敗は
無かったのにウケないこと…これこそが戦略そのもののミスで、物を落と
そうが落とすまいが、演技そのものが失敗作だということでしょう。

病気に例えるならば、この3人が物を落としたことは、油断して転んで膝
を擦りむいた程度のことで、以後注意すれば解決できることです。
一方、ノーミスなのになぜかウケないのは、倦怠感がある、微熱が続く、
病院で検査しても異常が見つからない…という不気味な感じで、実は
重篤な疾患が隠れているかもしれないわけです。

プロの世界で例えれば、若くてそこそこのイケメンで、ノーミスの演技で
そこそこウケているのに、次第に仕事が減って衰弱していく…これを単に
「不景気」という病名で片付けたら、永遠に処方箋は無いような気がする
のは私だけでしょうか。

話題が暗くなってしまうので話を戻しますが、とにかくこの3人はきちんと
稽古したことがかいま見えたし、ヘコむ必要はありません。

関東や関西の歴史あるマジックサークルと比べると、迫力不足は否めま
せんが、これから九州大学ならではのカラーを構築していって下さい。
皆さんの演技からは、偏差値の高さが滲み出てましたよ。

来年は早めに告知して、あの会場を満席にして下さい。
第3回目の発表会を楽しみにしています。


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イベントのご案内

九州大学マジックサークル 第2回発表会

日時 : 3月12日(金)  18時開場 18時30分開演
場所 : 福岡市 早良市民センター 4Fホール
入場無料

※ 昨年の第1回発表会は、お祝いとしてゲスト出演させて頂きました。
  今年は客席からゆっくりと楽しみたいと思います。

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営業文句

自宅にかかってくる財テク勧誘、マンション購入を勧める電話にうんざり
している方も多いのではないでしょうか。「必ず儲かります」というのなら、
なんで自分がやらないのかと疑問に思うのも当然です。
どんなにセールスしても相手が首を縦に振らない場合に「私を信用して
下さい」と言われると、返って不信感は募るし、「私はプロですからお任
せ下さい」なんて本当のプロは決して言わないものです。
うまく説明できずに逃げ込んだあげくの表現が「信用して」とか「プロ
ですから」というのは完全な敗北宣言です。

本当のプロと云われる人達、例えばプロスポーツの世界で一流の人達
にとっての「プロですから」とは…自分を強く戒める言葉です。
自分を磨いた結果で実証して、初めて周囲が「さすがあの人はプロだ」と
認めるものかもしれません。

翻ってマジシャンの中には「このイリュージョンは私しか持っていません」
なんて営業文句で売り込んでいる人がいるのも事実で、自ら考案したわけ
でもなく、単に売っているだけの道具を買っただけでプロとしてのウリ
にしたり、夢が叶ったなんて本気で思っているとすれば、それは情けない
かぎりです。(コレクターならそれでいいのでしょうが、パフォーマー
ならば、他にウリが無いことを白状しているも同然で、究極の他力本願
と言えましょう。)
他のマジシャンが同じ道具を買えば、そんな営業文句は使えなくなるし、
叶った夢さえはかなく散ってしまいます。
一流の野球選手が「このバットは私しか持っていません」と自慢するで
しょうか。それならそのバットでさっさとホームラン王になればいいのに…
と突っ込まれて終わりでしょう。

マジシャンというエンターティナーである以上、世間に認めてもらうべきは
「道具」ではなく「芸」であり、営業文句にするべきは「自分しか持ってい
ない」ではなく「自分にしかできない」であるべきではないでしょうか。
究極は、自分の代わりはいないというポジションなのでしょう。

カードなんて誰でも買えます。では誰でもふじいあきら氏や内田貴光氏の
ようにカードを扱えるものでしょうか。
スプーンは何処でも買えます。では誰でもMr.マリック氏のように説得力の
あるスプーン曲げができるでしょうか。

私自身「あんなマジック、でかい鳥を飼えば誰でもできるよ」と中傷される
ことの無いように、毎日の世話と噛み付かれながらの調教…
まだまだ切磋琢磨の日々です。

買えばできるではなく、近道の無い、地道な積み重ねの結果で完成する
「芸」こそを「営業文句」にしたいものです。

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