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2010年1月

鳥の話 18

1995年当時は、鳩15羽、孔雀鳩5羽、セキセイインコ4羽、大型インコ
やオウムは8羽ほど飼っていたでしょうか。とにかくあらゆるサイズの鳥の
アクトを作ろうとしていたのですが、行き詰まっていたのは孔雀鳩の手順
でした。単にサイズで分けるとすれば、鳩は小、孔雀鳩は中、オウムは大
ということになるのでしょうか。
鳩の演技の最後に孔雀鳩を出しても、クライマックスとしては弱いし、
孔雀鳩を数羽出した後にオウムを出したとしても、インパクトは薄まって
しまいます。やはり普通の鳩のラストにオウムという流れが最も収まりが
良いようです。
このために孔雀鳩は他の鳥とは併用せずに、単独での手順を作るつもりで、
友永天豊氏に孔雀鳩用のバニシングケージまで製作して頂くなどして構成
してみましたが、エネルギーはどうしてもインコやオウムの調教の方に
向けられて、遅々として進みませんでした。

この時期、広島から内田貴光氏が月に一度のペースで私の家に泊まりに
来ていました。1994年、大学生にしてFISM横浜大会マニピュレーション
部門のチャンピオンとなった彼は、プロ入りを決意して着々と準備をして
おり、私が依頼したリゾートホテルのレギュラー出演の都度に泊まって、
それこそ朝方までプロの仕事について熱心に質問していました。
プロになれば得意のカードアクトだけでなく、限られた予算の中から様々
なレパートリーを揃えることが必要となってきます。
それらの話の中で、彼は孔雀鳩に興味を示し、私も彼ならアクトを完成
させてくれるのではないかと思いました。ジャンボカードで注目された彼
ならば、鳩もジャンボな方が彼らしい…全ての孔雀鳩とバニシングケージ
を内田氏に引き渡して夢を託しました。
参考までにと孔雀鳩で有名なダーク・アーサーのビデオを渡そうとしたら
「見てしまうと影響を受けて、似た演技を作ってしまいそうなので遠慮して
おきます。」という彼の言葉が忘れられません。

それから3年後の1998年、Mr.マリック氏主催マジカルホテル・マジック
シャワー(NHK-BSで放映)において、連続3羽出しや分裂・消失を含む
素晴らしいアクトを披露してくれました…つづく。


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やってしまいました

昨年最後のショーは愛媛県松山市のホテルだったのですが、久しぶりに
ゲスト無しで1時間15分と長めのステージを務めさせて頂きました。
イリュージョン等の機材は宅配便で送っておいたので、当日はスタッフと
鳥達と共に飛行機での移動でした。

ショーの出来はどうだったかというと…昨年製作したバードマジックを
初めて演じたのですが、初歩的なミスをやってしまいました。
現象を簡単に説明すると、1辺が20センチのブロック(立方体)が6個
あり、これらを組み合わせることによってパズルのように色々な鳥の写真
を作ることができることを説明した後、ある鳥の写真を完成させます。
これに箱をかぶせて持ち上げるとブロックは消失して本物の鳥に変化
するというものです。
具体的には最初にオオバタン(白色オウム)の写真があり、これを一旦
バラバラにしてルリコンゴウインコの写真を組み立てて、最後に本物が
出現して会場を飛ぶというわけです。

で、どんな失敗をしたかというと…リハーサル終了後にリセットし忘れて
いたのです。つまり本番のスタート時点がオチのルリコンゴウの写真な
わけで、これがオオバタンの写真に変わってルリコンゴウが出現すると
いう、なんとも辻褄が合わない結果となってしまいました。
一応鳥が出ればウケるわけですが、なんとか取り繕おうとする私の焦りは
観客に伝わったようで、なんとなく微妙な雰囲気…鳥達は全て飛行して
戻って来るなど完璧な仕事をしているのに、飼い主がポカをやっていては
ダメですね。製作者の友永天豊氏にも良い映像を送って観て頂こうと
思っていたのに、延期になってしまいました。

しかし実はもっと反省しなければならないのは、このミスを引きずって
しまったことです。その後のマジックの最中にも「さっきはああすれば
よかった…こうすれば解決できたのに…」などと考えて集中力を欠いて
ミスが連鎖するのです。
私のレパートリーに人形と五寸釘を使って呪いを飛ばす「ブードゥー」
という演目があるのですが、考え事をしていたために、全く関係が無い
観客に呪いが飛んでしまい、無駄に痛い思いをさせてしまいました。
(演技内容を詳しく説明するのは難しいのですが、温厚なお客様で
助かりました。)

今後もポカをやってしまう可能性はあるわけで、重要なのは、それを
引きずらないようにすることです。この年齢になってもまだまだだなあ
と反省すると同時に、芸事の難しさを改めて体感しました。

当然のことながら、出演記録ノートの内容はダメ出しの赤文字だらけに
なりました…トホホ。

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