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良いマジックとは?

良いマジックとはどんなマジックなのでしょう?
アマチュアにとっては、演じていて自分が最も満足感(気持ちが良い)を
得られるものでしょうし、プロにとっては生活のために最も真剣に向き合
わなければならないテーマかもしれません。
また観客から観た良いマジックとは、演じる側とは違うものでしょう。

ここではあくまでもマジシャンの立場から、ごくごく小さな切り口で最大
公約数的な良いマジックの条件を羅列してみるとこんなところではないで
しょうか。
・ 確実にウケる
・ ストレス無く演じられる
・ 角度に強い
・ 演者も観客も飽きない
・ 再現性がある
・ セットや持ち運びが簡単
・ 予算が安く済む
  …etc

これらはマジシャンにとって良い条件であると同時に、観客にとっても
決して悪い条件ではありません。
しかし、観客の立場を無視したマジシャンにとってだけ都合の良い条件
というのが存在します。

・ 時間がもつ

「このマジックは時間がもつからいいよねえ。」…後ろ向きですよね…
残念ながらマジシャン同士の会話で時々出て来ます。
これからイリュージョンを買おうとするマジシャンはよく次のような相談
を持ちかけます。
「安くて、持ち運びが簡単で、角度に強くて、確実にウケて、時間がもつ
イリュージョンてありませんかね?」
そんながんじがらめの条件で、観客の立場を無視して良いショーって
出来るのでしょうか?
予算の無い若手マジシャンならともかく、ある程度の地位のベテラン
マジシャンが「1分しかもたないイリュージョンに何十万も予算をかける
気にはならないもんなあ。」と言うのを聞いた時は、がっかりしました。

私の感覚では、サイレントアクトで演じる場合ならば、どんなに時間が
かかるイリュージョンでも4分そこそこです。それならば面白いトーク
マジック3分と贅沢な1分のイリュージョンを演じる4分の方が、よほど
グレードが高いと思うのですが…。

アシスタントが入ったボックスに、ダラダラと多くの剣や筒を刺して、
時間をもたせるかのように、何度もボックスを回転させる演技などは
プロとして本当に観客のために演じているのでしょうか?

カルピスの原液が10人分しかないのに、薄めて30人分にしたとしたら
誰一人美味しいとは思わないでしょう。
コンベンション用の10分足らずのアクトしか自信の無いマジシャンが
30分の仕事を引き受けたら、薄い尻すぼみのショーになりがちです。
翻って、余裕で1時間演じられるマジシャンが構成した30分のショーは
内容が濃いものです。

プロ活動を続けていると、ついつい「営業ズレ」に陥ってしまい、自分に
とって「楽なマジック」が「良いマジック」になりがちです。

若手プロの方々に老婆心ながらのアドバイスです。
最もやっかいで、最も難しく、最も面倒な選択肢が未来を明るくして
くれるはずです。

※ 最近諸事情により多忙なために、更新が遅れていますことを
  ご了承下さい。

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