鳥の話 13
1992年、IBMソルトレイクシティー大会に参加しました。
この大会で3人の素晴らしいバードマジシャンを目撃することになります。
コンテストで2人、ガラショー(ゲスト)で1人。
コンテスタントの2人は、グレッグ・フリューインとジェイソン・バーン。
2人とも完璧に調教されたカラー鳩をユニークかつ斬新な手法で、テンポ
よく出現させていきます。しかしタッチもそっくりなら使っているBGMも
同じ…どちらかがコピーしたのであれば明らかな優劣はあるはずだし、
図々しく同じステージには立たないだろうと訝っていると、後で理由が
分かりました。彼等は実は前年までダブルビジョンという名のコンビを
組んで、一緒に演じていたらしいのです。それが仲違いしてコンビ解消、
各々でコンテストに出場したとのこと。どおりで目も合わせないはずです。
甲乙つけがたい見事な鳩出しでしたが、審査員の票が割れたらしく1位は
カードマニピュレーションのジュリアナ・チェンでした。もしどちらか
1人しか出場していなければ、結果は変わっていたかもしれません。
ガラショーに登場したブレット・ダニエルズ…この大会の全てを持って
行った感があります。彼は実はグレッグとジェイソンの師匠筋にあたる
マジシャン、いや、もはやバードイリュージョニストです。
突然ホールの後方から飛んで来るタイハクオウム、そのオウムを鳥かご
に入れると美女に変化、カードマニピュレーションの途中にコンゴウインコ
の出現、オウムによるカード当て、ゾンビボールの演技の後スカーフから
コンゴウインコの出現、客席を旋回して手元に戻ると分裂…その都度に
悲鳴のような歓声が沸き起こります。190センチ近い大男でリーチも長く
両手に持ったコンゴウインコが小さく見えるダイナミックな演技でした。
バードマジック大国アメリカでは、かなりの勢いで鳩はもちろんインコや
オウムを出すマジシャンが増えています。
これには3つの理由が考えられます。
1. 憧れの対象となる、カリスマバードマジシャン達の存在
2. 繁殖が盛んなため、鳥の価格が安い
3. 飼育し易い環境(広い国土ゆえに近隣住人を気にしなくて済みます。)
以前ラスベガスのコンベンションのジュニアコンテストで男の子がコンゴウ
インコを出現させて飛ばしたのに驚き、アメリカではここまでポピュラーな
のかと考えさせられました。
ヨーロッパ諸国の事情は日本と似ているようです。国土も狭く鳥の価格も
高いので、大型鳥を出すマジシャンが目立って増えた感はありません。
鳥に限らず、猛獣や象を使ったり超大型イリュージョンの分野はアメリカ
の独壇場と言えるでしょう。
お国柄が違うんだと愚痴っていても、物事は進みません。
帰国後、さらにバードマジックの研究に熱が入ります…つづく。
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