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鳥の話 10

1987年秋、第6回エキサイティングマジックコンテストにチャレンジ
することになりました。
この大会はMr.マリック氏の主催で、1977年の第1回以降、1年おきの
ペースで開催され、多くのプロを輩出してきましたが、1988年頃から
テレビでマリック氏がブレイクし始め、マニアの世界からは距離をおいて
タレント活動に忙殺されるようになったために最後となったこの回にギリ
ギリで間に合いました。

アメリカでの失敗を省みた私は、毛花等のリアリティの無い素材を手順
から排除し、鳩とファイヤーを軸によりシリアスなアクトの完成に没頭
しました。BGMもより荘厳な曲に変更しました。
しかし、医学部の5年生のカリキュラムは病院実習もあり超多忙な生活
を送っていました。毎晩11時過ぎの帰宅後夜中2〜3時まで練習と鳩
の調教、朝7時には大学病院といった日々です。(夜中にゴトゴトと歩き
回ったりBGMを流して練習していたために、さすがに階下の住人から
苦情が来ました。)

今回のアクトのコンセプトは「変化」でした。つまり、「鳩出し」ではなく
「鳩への変化」です。具体的には次のような現象です。
・スタンドにかかったスカーフが鳥かごに変化
・手袋を投げると鳩に変化
・小さなシルクがセキセイインコに変化
・セキセイインコを投げると鳩に変化
・白いボールが鳩に変化
・ファイヤートーチが孔雀鳩に変化
・孔雀鳩がスカーフに変化

これらの現象の間に、フィクルファイヤーやカードをアクセントで入れる
構成にしました。クライマックスの孔雀鳩打ち消しは鳩が大きいだけに
かなりの練習が必要でしたが、私が演じてきた感覚では銀鳩の2羽消しの
方が難しい気がします。
結果はなんとか優勝することが出来た上に、年末には1988年のお正月
に放送されるTBS「スーパーマジックショー」の収録、さらにはこの演技が
全日空のスカイビジョンで放映されることになりました。
ところが、この優勝を最後に学業に戻る決意をしていた私に悪魔の囁き…
1988年FISMオランダ・ハーグ大会コンテスト出演の話が…。

翌年の春には医師国家試験が控えており、同級生達は皆試験モードに
入っています。もうマジックに時間をさく余裕は無くなっていました。
しかし研修医として大学病院に勤務すれば、もうこの先何年も海外の
コンベンションに参加することは不可能になるでしょう。
さあ、どうしよう…つづく。

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