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鳥の話 5

ある日、某百貨店の最上階のペットショップで白色オウム(キバタン)を
見つけました。数週間悩んだ後、ある道具のために貯めていたお金と、
他にもなんとか工面して、ついに購入しました。
しかし、これが悪夢の始まりでした。
とんでもない雄叫び…ステンレスキッチンがキーンと反響するほどの声で、
早朝と夕方に鳴き続けます。(そういう習性なのです。)
日中のペットショップでは鳴き声を聞いたこともなかったので、おとなしい
鳥だと思っていたのです。何事も冷静に時間をかけて、ある程度は勉強する
べきでした。(良心的なショップならば、雄叫びや習性のことを親切に教え
てくれるのですが、ここの店主は全く教えてくれませんでした。)
このままでは上下左右の住人から苦情が来て、さらには隠し通した鳩までも
見つかって退去させられる…1週間で手放すこととなりました。
学生の分際で、大型のインコやオウムを飼える立場ではなかったのです。
他人に気兼ね無く飼えた上で、調教に必要な理想の飼育環境は「一戸建て」
でしょう。夢が叶うとしても、まだまだ先になることを覚悟しました。

さて、気を取り直して鳩の練習を続けていたわけですが、同時に研究を
していた分野があります。高校時代に酒匂氏の演技を見て、俄然興味を
持ったファイヤーマジックです。福岡にはこの分野の第一人者がいました
…故菊地豊氏。酒匂氏も学生時代は氏の下で修行をして巣立って行った
わけですが、私も約3年間入り浸って、道具作りを手伝いながらファイヤー
マジックの研究をしていました。そして初の渡米も氏と一緒でした。

ある程度アクトが完成して、大学祭等で演技するだけでは満足出来なく
なると、海外のコンテストに挑戦したいという欲求がムラムラと沸き上がり
ます。大学の夏休みと海外のコンベンションのスケジュールを調べると、
アメリカ・セントルイスで開催されるコンベンションの申し込みがなんとか
間に合いました。
しかし、問題は鳩を持って行けるかどうかです。不可能ではないのですが
お役所仕事で様々な書類が必要な上、かなり前から申請しなければならな
かったために、諦めざる得ませんでした。
結局菊地氏のつてで、テキサスのマジシャンから数羽の鳩を売ってもらう
ことになりましたが、慣れた鳩を簡単に譲ってくれるとは思えませんので、
調教のためにコンテストの1週間前に渡米しました。練習では全然上手く
いかなかったのですが、本番だけはキマりました。
結果的には優勝出来ましたが、運も良かったのでしょう。表彰式の後に行
われる受賞演技では、全ての鳩が飛んで逃げるボロボロの状態だったので。
ところで、もう一つ運の良い出来事がありました。
鳩は日本に持って帰れないので、どうしたものかと困っていると、マニア
のおじさんがかなり高い値段で買い取ってくれました。どうやら優勝者の
鳩だから、良く調教されていると勘違いしていたようです。
(ボロボロの受賞演技の方は観ていなかったんだろうなあ。)

この後参加したミシガン州のコンベンションで、取材に来ていたカナダの
番組に急遽出演することに…しかし鳩が無い!
ここでまたも幸運が…鳩を買ってくれたおじさんがキャンピングカーで
現れて、貸してくれたのです。(幸運3連発!)

初の海外旅行も終わりに近づきました。スケジュールの違いで、菊地氏
とはシカゴで別れてロサンゼルスに向かいました。最後の夜はマジック
キャッスルです。完全会員制というのは知っていましたが、ダメもとで
訪れて入り口で交渉していると、コンテストの表彰式でのプレゼンター
を務めたビリー・マッコームが私に気付いてくれて、あっさり入場出来ま
した(幸運4連発!)。ここでは毎週出演者が入れ替わるのですが、今夜
の出演者は…なんと島田晴夫氏。2列目の中央の席で観ることになりま
した(幸運5連発!)。オープニングの鳩が私の頭上を飛んで、氏の手元
に戻って行きました。やっぱり鳥は飛んでこそ鳥。

次回は、具体的な鳩の調教方法についての考察です…つづく。


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