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俯 瞰

俯瞰(ふかん)…難しい漢字です。辞書には「高い所から広く見渡すこと」
とあります。運動場ほどの広い絵の上にポツンと立つと何の絵なのかは
理解出来なくても、ヘリコプターに乗って上空から見ると理解出来ると
いった意味なのでしょうか。もっと簡単に言えば、以前の考察でも述べた
ように「客観的に見る」ということなのでしょう。

これはマジックショー(クロースアップやステージに関係無く)を構成する
際に、長時間になるほど全体像が把握しづらくなることを考えると、非常に
重要なキーワードとなります。素材が違うからと安心して構成してみると、
連続して同現象(例えば当てもの系)を演じてしまったりします。
クロースアップで、演技の都度にデック(カード)を取り替えるマジシャンを
見たことがありますが(現象の数とデックの数が同じ)、最低限デックの色を
統一した上で、せめてカードマジックの間に他の素材のマジックをはさんで
ほしいものです。
先日、あるローカルマジシャンの映像を観てしまったのですが、スケッチ
ブックからボーリングボールを出し、小さなスケッチブックからフルーツを
出し、さらに別のスケッチブックでライジングカードを演じるという支離滅裂
な構成、つなぎのトークも「さてさて次のマジックは…」の繰り返しで、エン
ターテインメント性を全く感じない上、演技もコピーなら道具もコピーという
陳腐なショーでした。このようなDVDを平気で配っているということは、自分
の映像を俯瞰で見るどころか、気持ち良さげに悦に入っているのでしょう。

自己満足して自己完結すると、上記のマジシャンのような演技に陥ります。
ですから、俯瞰の慧眼を持つ多くの優秀な仲間達がいるというのは有り難い
ことです。(先輩としていつも的確なアドバイスを頂くのはマリック氏、後輩
でも遠慮なくズケズケと指摘してくれるのは…ゆうきとも氏かな。もちろん
内田貴光氏やRYOTA氏ともお互いのショーの感想を言い合っています。)

今回の考察は奥が深くてキリが無いので、また次の機会にでも私の失敗談
や反省を交えて述べることにします。(他者批判だけで自己批判が無いと
説得力がありませんからね。)

最後にもう一つだけ述べておきましょう。大事なことです。
他人の行動やビジネスを冷静に俯瞰あるいは客観的に眺めると、様々な矛盾
や真意が見えて来るものです。
例えば一般的なレクチャーではなく、法外な授業料で一流のプロマジシャン
を育てるというスクールがあるとします。ではそこの講師のマジシャンは一流
なのでしょうか? いいえ、そのような商売をする程度のマジシャンだという
ことです。講師が一流の現役であるならば、堂々と出演ギャラで裕福な生活
を送ればいいのです。その生き様を後輩に見せることこそが最高の授業では
ないでしょうか。騙されてはいけません。ドブに捨てるような授業料を払う
余裕があるのなら自分で道具や衣装を買って独学すれば、すぐにその講師に
追いつき追い越すことが出来るはずです。(あなたが払ったその授業料で
講師が道具や衣装を買うつもりなのです。)二流マジシャンが法外な授業料
を要求して一流マジシャンを育てるなどと言う資格はありません。
(肥満の内科医から、あなた減量しなさいと言われたくないでしょ。)

「一流を育てる」という概念には全く意味がありません。
「一流ほど勝手に育つ」ものです。

マジシャンであるならば、俯瞰によって世の中のからくりを見抜く洞察力を
研ぎ澄ます努力を怠ってはなりません。

自己啓発書や占い本やビジネス書をどれだけ読みあさっても成功はしません。
成功するのはその著者だけです。


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