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2009年1月

そんな人いません。

今回の記事はお知らせでも考察でもありません。
ただ時々、私にその真偽や見解を求める質問メールが来るので、この場で
断言しておこうと思ったまでです。
理解出来る方だけに理解して頂ければ結構です。

九州の西の片田舎の喫茶店に「超能力者」なんていません。

まして飲み屋に「マジック世界グランドチャンピオン」なんて絶対いるはず
がありません。

普通に考えれば変ですよ。…超能力者がコーヒー作ったり、自称世界一の
マジシャンがお酒を提供したり通販しなきゃ生計が立てられないなんて。

彼等が本物だといまだに自分で言い張っているのなら…笑止!
自分自身で本当に思い込んでいるのであれば…良い病院を紹介せねば。

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普段しない事はしない方が…

マジックにおいて違和感を覚える理由の多くは、そのマジシャンが普段は
していないであろう動作や発言等に起因しています。故ダイ・バーノンの
「Be Natural」という言葉は有名ですし、ふじいあきら氏も自身のブログで
「普段の自分自身であること」の重要性を述べています。

昔の私は、燕尾服をまとい、しかめっ面でハードボイルドな演技をする事
(それがダンディズムであるとの勘違い)に憧れ、アマチュア時代から長年
そのような演技をしてきました。
しかし、そんな張りつめた空気は、もっても10分がいい所でしょう。
コンテストやスポット出演ならともかく、プロとして30分以上をこなすのは
とても無理です。普段の自分はハードボイルドやダンディズムとは程遠い
のに、そうしてまでも自分には無いキャラクターに憧れていたのでしょう。

当時の険のある演技を観たマリック氏からも言われました。
「なんであんなしかめっ面でやってるの?楽屋で嫌な事でもあったの?
プライベートで話すとあんなに人を楽しませて笑わせるのに、もったいな
いよ。格好つけずに素の部分をショーに出した方がいいと思うよ。」
それからは肩の荷が降りたように楽になり、今ではほとんど素の状態で
ステージに立っています。(たまに行き過ぎがあるのは自分でも重々承知
しています、はい。)
いまさらビジュアル的に格好つけたって、若手のイケメンマジシャン達には
とても太刀打ち出来ないのですから、ウケることが最も格好いいことなのだ
と確信を持って自分に言い聞かせています。

今回の考察では色々と思う所があるのですが、最も感じるのは普段から
人を楽しませる習慣が無いと、ショーの時に観客を笑わせる事は出来ない
ということ。普段話していて退屈な人が、ショーの時だけ都合良く突然面
白くなるはずがありません。

普段しない事が目立ってしまう場面は、あらゆる分野で見受けられます。
クロースアップにおいては、普段はそうでもないのに何かをパームしてい
る時に限って、ミスディレクションのためか袖を引き上げる動作を連発
したり、さっきまでタメ口で話していた友人が、カードを手にした途端に
「一枚引いて下さい。」と敬語になったり…。

私がずっと気になっているのは、イリュージョンショーにおける所作です。
全盛期のデビット・カパーフィールドや欧米のイケメンイリュージョニスト
の女性アシスタントとのキメポーズや抱擁は、計算しつくされた動きで、
口づけする程に顔を近付け合っても自然な上、全くいやらしさを感じさせま
せん。翻って、それに影響された日本人イリュージョニスト(なんちゃって
カパーフィールド的な)が同様な抱擁をすると、不自然でいやらしい感じが
否めません。(こちらまで照れくさくなる程イタイ演技もあります。)
これは根っこに絶対的文化の違いがあるのです。
映画を観ても分かるように、欧米の男女は行ってきますでチュッ、ただいま
でチュッ、家庭内はおろか人前でも当たり前のように抱擁しています。
欧米のイリュージョニストのステージ上での動きは、日常生活の延長線上に
あるために違和感が無いのです。
ほとんどの日本人イリュージョニストが普段から欧米人のように抱擁して
いるとはとても思えません。どっぷりと日本文化に浸りながら、ステージ
でのみ取って付けたような動きをするからいやらしくなってしまうのです。

亭主関白な夫が、急に妻に優しい言葉をかけ始めたら…それは確実に浮気
を疑われます。
やはり、普段しない事はしない方が…。


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あれだけってどれだけ?

マジックを演じている方々ならば、誰でも一度は次のような質問をされた
事があるでしょう。「どれだけ練習したらそんな事が出来るんですか?」

数や量で表現されるものではありませんし、一般人の質問の主旨は期間で
しょうから、私の場合はあたりさわりの無いように「まあ、結構練習時間は
必要ですけどね…。」と応える程度でお茶を濁していますが、これがマジ
シャンからの質問であれば話は別です。

マジシャンから「どれだけ調教したらあれだけ鳥が慣れるんですか?」と
聞かれるのは困りものです。常識あるマジシャンならば、あまり意味の無い
質問だと理解してくれているはずなのですが…。
例えば、マジック歴30年と豪語していても、30年間何やってたの?という
程度のベテランもいれば、短期間でコツを掴んで、驚く程早く上達していく
若手もいます。(内田貴光やRYOTAと付き合っていると、特にそれを感じ
ます。)重要なのは期間ではなく、その密度と集中力なのですから。

昔、あるアマチュアマジシャンがコンテストに出場するにあたり、鳩を飛ば
して戻って来るノウハウの教えを請いたいとの事で、手順構成・調教方法を
含めてその演技の完成まで協力しました。その後、彼は近所の公民館を
借りてまで調教したらしく、3羽の鳩が確実に戻って来るようになったので
3羽全てを本番で飛ばしますとの連絡がありました。果たしてコンテストの
結果は…鳩は1羽も戻って来ませんでした。(本番とはそんなものです。)
悔しがる彼の一言は「あれだけ調教したのに…。」いったいどれだけだった
のでしょう?アマチュアからすれば「あれだけ」と努力を認めて欲しいのかも
知れませんが、プロから見ればたった「それだけ」だったのかも知れません。
冷たいようですが、結果が全てです。

確かに動物を自在に操れるようになるまでには(ましてお金を稼ぐレベル
になるまでには)、大変な根気と時間が必要です。ですから、これだけは
断言しておきます。
同業者の立場で後輩であるにも関わらず、挨拶も無しに他人のショーを
こっそり観に来て、簡単な部分だけお手軽に模倣する悪癖が染みついた
ローカルマジシャンは、「あれだけ」すら絶対に出来っこないのです。
だって「それだけ」のマジシャンなのですから。


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レクチャーのご案内

ふじいあきらレクチャー in 福岡

日時 : 2009年2月23日(月)
     19 : 00〜21 : 00

主催 : プロモーションZUMA・フィネスマジシャンズクラブ
協力 : Funny Magic Go 詳細・申し込みはこちら


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世相とマジック

職業プロであるならば、代表芸とまではいかなくても、確実にウケを狙
える演目(テッパンネタというのでしょうか)があるに越したことはあり
ません。
私のレパートリーの中では「ギロチン」がその一つです。(あくまで自己
評価ですが)長い年月をかけて演出やセリフや間を練り上げ、はずさない
観客を選ぶ洞察力も研ぎすました自信の演目なのですが、その強烈なイン
パクトのせいか世相に翻弄されて、過去何度も演技を封印せざる得ない
事がありました。

最初の封印の原因は、世間を震撼させた1997年の神戸連続児童
殺傷事件でした。当時14歳の少年が幼児の首を切断するという凄惨
な事件のインパクトは想像を絶するもので、ギロチンはおろか切断系
イリュージョンは全てNGという状況が1年以上続きました。
(間の悪いことに私は事件の当日、ニュースを知らずにギロチンを演じ
て、観客にドン引きされた苦い経験があります。)
2004〜2005年にかけては、イラク戦争において、アルカイダに
捕われた人質の首が切断されるという事件が何度も報道され、ネット上
でその映像が公開される状況でした。
丁度その時期、私はTBSの深夜番組で、お笑いのロンドンブーツと一緒
にギロチンを演じたのですが、放送日の前日に人質が殺害され、放送
翌日のスポーツ新聞には不謹慎だと書き立てられました。
(収録は当然事件の前だったので、まさに不運でした。)

ある時、この手の話題でMr.マリック氏とお茶しながら話した際に、氏が
ボソッと言いました。「我々は一般人には出来ない現象を起こしてるはず
なのに、刺したり切ったりは一般人がリアルにやっちゃう世相だもんなあ。
だから我々は、自暴自棄になった一般人が逆立ちしても出来ない物体貫通
や浮揚などの夢のある現象を追求するべきなんだろうなあ。刺したり切った
りはもう古いし、夢が無いよ。」…ごもっとも。でも刺したり切ったりが
好きな私は、今しばらくは止められそうにありません。

昨年も秋葉原の事件を始め凄惨な事件が頻発しましたが、2009年は
そのような事件が起こらないことを祈るばかりです。マジシャンが明るく
楽しく堂々と刺したり切ったりのイリュージョンを演じられる世相こそが
平和である証なのかも知れません。

そういえば、オウム真理教が世間を騒がせていた頃、エージェントから
言われた事があります。「オウムはイメージが悪いので、今日のショー
では出さないで下さい。」…あんまりだ。


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イベントのご案内

バレエダンサー西島千博 公演
~La Presente~ (未来への贈り物)
「NEOバレエ」×「イリュージョン」

スペシャルサポート:山本 秀(ハーフムーンオーナー)
イリュージョンコンサルタント:Dr.ZUMA (プロモーションZUMA)

日時 : 2009年2月19日(木)&20日(金)
場所 : 宮崎市民プラザ オルブライトホール

詳しくはこちら


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イベントのご案内

九州大学マジックサークル 第1回発表会

    ゲスト出演 : Dr.ZUMA

日時 : 2009年1月10日(土)
     13:00開場  13:30開演
場所 : 福岡市民会館小ホール
入場料 : 無料

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