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見たことないもの?

仕事を頂くエージェント(芸能プロダクション)から、年に1、2度ですが
次の様なリクエストをされる事があります。
「今回はある企業のパーティーなんですが、ここの社長がマジックが
好きで、毎年マジシャンを呼んでいるんです。色々なマジックを見慣れ
ているので、見たことないものをやってほしいんですよね。」
冷静に考えると、このようなリクエストをされるのはマジシャンだけでは
ないでしょうか?お笑い芸人が堂々と他人のネタをやる事はないだろうし、
ジャグラーなら扱う道具がある程度重複するのは仕方ないし。
(マジシャンの場合は、人が代わってもどうせ出し物はほぼ一緒なのだと
見透かされているようなもの。)

デビュー間もない頃にこのようなリクエストをされると、それは焦って、
過去に誰がどんなマジックをやったのかを必死で聞き出していたものです。
現在はアクトであれ、トークであれ、イリュージョンであれ、自分なりに
差別化を図ってきたので焦る事はなくなりましたが…。
しかし、同じ素材や道具であっても、演じるマジシャンによって全く別物
に見える事も多いので、リクエストの「見たことないもの」の意味が「物」
なのか「演技」なのかは悩ましいところです。

差別化を図るには様々な考え方があります。
・誰にもマネ出来ないテクニックを身に付ける。
・ポピュラーな道具でも、独自の使い方をする。
・他人には似合わない独自のトークをする。
・誰よりも早く新製品を手に入れる。
・かなりの勇気が必要なほどの高いイリュージョンを買う。
・自分以外には秘密が解らない魔法を演じる。
等々。
そもそも有名になってしまえば、その事自体が大きな差別化です。

芸人ならば、他人を出し抜きたいと考えるのが普通だと思うのですが、
どうもマジシャンは横並びで安心感を得るのが好きなようです。
あるエージェントが嘆いていました。「若手マジシャンがデビューしたと
思ったら、みんなスケッチブックからボーリングの玉を出し、テーブルを
浮かし、紙コップの水を消し、雪と言い張って紙吹雪を散らかして陶酔
してるんだよなあ…」

20年前、名古屋キャッスルホテルで見かけたMr.マリック氏のポスター
のキャッチコピーが忘れられません。
「こんな不思議な男、見たことない!」…カッコ良過ぎました。

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