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イヤな感じ

ちょっとネガティブな話です。
先日の母校公演のリハーサルを終えた夜、高校時代の後輩と合流して
スタッフを含めた5人で夕食に出掛けました。食事中、マジックバーの
話題になり、せっかくだから地元にそのような店があるのなら行こうかと
いう雰囲気になって行ってしまいました。(私は、あるマスターがいるという
情報を知っていたので、あまり気乗りしなかったのですが…)

ここで話が少し前後します。
現在でこそマジックバーは全国にありますが、私が地元にいた頃にも一軒
あり、高校卒業後に何度か訪れてそのマスターとも知り合いになりました。
しかしそのマスターの話す内容が、20歳前後だった私が聞いても眉唾物
で、あまりの嘘に呆れ返った事が多々ありました。例えば、このマジックは
僕が考えた…あいつには僕が教えてやった…上手くもないのに、あげくの
果ては、このカードマジックを見て松尾さん(現Mr.マリック)が驚いた等の
オンパレード。(マジック界ではよくある話ですが)こんなタイプの人間とは
距離を置きたいなあと思った矢先、その店は潰れました。その後、マスター
は東京に行ったという噂を聞いていましたが、またいつか地元で店をと捲土
重来を期していたようです。(東京でこのマスターに会ったマジシャンの話に
よると、私はいつの間にか弟子になっていたそうな。)

話は戻ります。最近また地元にマジックバーがオープンしたということで、
なんとか探してふらりと訪れてみると…やはりそのマスターがいました。
20数年振りの再会…私の突然の来店にびっくりした様子。我々の席に来て
昔話に花を咲かせているうちはよかったのですが、人間性は何年経っても
変わらないのか、次第に虚飾と欺瞞の自慢話が始まりました。全て聞き流
すつもりでしたが、私の親友であるH氏(銀座の有名バーマジシャン)の悪口
が始まったことで事情が変わりました。実はこのマスターは地元で再起を期
すため、何度もH氏の店を尋ねてはその繁盛店のノウハウを教えて欲しいと
頭を下げていたのです。全てのお金をはたいてもう一度地元で店をやりたい
と…私がこのマスターは胡散臭いから教えるのはやめた方がいいと何度か
忠告したのに、人の良いH氏は情にほだされて、わざわざこの地元まで飛行
機で来て店の立ち上げに付き合い、貴重な演技指導までしてあげたのです。
しかし私の予感は的中、恩を仇で返す悪口にすっかりお酒もまずくなった上
このまま聞き流すと、私もそれを認めた雰囲気になりそうだったので、実は
私はH氏と親友で、全てのいきさつを知ってる事をほのめかすと態度は一変、
手の平を返したようにH氏を絶賛し始める情けなさ…みんな唖然。

マスターの自慢話と他のマジシャンの悪口に辟易したところで、スタッフの
一人がマジックの実演をリクエストしたところ、もうみんな見慣れてるから
いまさらいいでしょと、なんと拒否!(マジックを見せてナンボの店なのに)
もういいやと、さっさと支払いを済ませて帰り始めた私にこのマスターは言い
ました。「この店に協力してくれない? 何かいいネタがあったら売ってよ」
…とほほ。(この危うさは君子でなくとも近付かない方が良さそうです。)
この一件さえ無ければ、気持ちの良い里帰りだったはずなのに。

このHPはマジシャン以外の方も多く見て下さっているようなので、マジック界
のネガティブな部分をオープンにしたくないのですが、尊敬するH氏の名誉を
守るため、本人の同意を得てここに記載しました。
どんな世界にも虚飾や欺瞞はあると思いますが、マジックはマイナーな業界
だから嘘がばれないとタカをくくっているのか、この手の話は枚挙にいとまが
ありません。もし医学界で、この手術法は俺のオリジナル、この治療法は俺が
考えてあいつに教えたなどと安易に嘘をついたら大変な事になるでしょう。
今までは所詮マジック界ではよくある話と相手にしないことが多かったのです
が、今回のH氏の件で、やはり正すべき事はきちんと正すべきと再考した次第
です。私自身も、ある地方のマジシャンのためにコンテストの手順を作り、賞
を獲るまで導いたにもかかわらず、彼はその事をひた隠し、全ての手柄は己
の力によるものと、相変わらず虚言癖満開のようです。
今後機会があれば、全ての真相を明らかにするべきなのかもしれません。
面倒臭くても、降り掛かって来る火の粉を振り払わなければ、嘘が本当に
なってしまうからです。 ホント、イヤな感じです。

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