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マジシャンのステータスって?

あるライブでの一場面です。某ジャグラーが、「マジシャンには金さえあれば
なれる」という発言をしました。
もちろん笑いのためのジョークであることは理解できたし、マジシャンが
仕掛けを買って頼っている側面がある以上、ある意味正解なのでしょう。
さらにこのジャグラーは、普段からマジシャンを若干見下す傾向があると
いう噂を耳にしていたので、その発言を意外とは思いませんでしたが、
マジシャンとしては気分の良いものではありません。
客席には数人のマジシャンが来ているのを知った上での発言なので確信犯
かも知れません。確かにジャグラーは仕掛けに頼らず技術だけで勝負して
いるので、マジシャンをそう決めつけてしまう傾向があるのでしょう。
しかし驚くべきは、その後に登場したマジシャンが、このジャグラーの考えが
正しい事を裏付ける発言をしてしまった事です。
ある演技後、次の道具がなかなか運ばれて来ずに、間が持たなくなった
あげくに「僕は、さっきのジャグラーの○○さんのような話術も無いので間も
持たないし、道具が無なければただの人です。」と言ったのです。
自虐トークで笑いをとるはずが、結果は寂しい失笑…。
これはチケットを買って、わざわざ足を運んだ観客の前で、プロが言うセリフ
とはとても思えません。

日本におけるマジシャンを含めたいわゆる「芸人」の社会的地位は、決して
高いものではありません。
私が幼少時代に感じていた、燕尾服に身を包み、シルクハットを手にした
マジシャンのイメージは気品に溢れていましたが、成長と共に世間がマジ
シャンを見るイメージを理解しながらプロ活動を行うにつれ、現実の厳し
さを感じたものです。
ジャグラーに女癖が悪いとまでバラされて喜んでいるこのマジシャンを観た
子供達は、マジシャンに気品を感じる時が来るのでしょうか。
自虐を売りにしてマジック界全体のステータスを下げるくらいなら、燕尾服
で中途半端に格好つけるのはもうやめて、最初から自虐コメディーマジシャン
のキャラを模索した方がいいのでは。
そもそもステータスを下げることで笑わせようとすること自体が、すでに
センスの無さを露呈しているも同然なのですが…。

私は微力ながらもマジシャンのステータスの向上にエネルギーを注いだ自負
があるだけに、このマジシャンがジャグラーに白旗をあげた光景は後味の悪
いものでした。
小馬鹿にされても付き合いを続けて共演するのは、仕事のおこぼれにあず
かることができるというのが理由の一つなのでしょう。

ところで、この上から目線のジャグラーが最も自慢げに演じていたのは、ラス
ベガスのスタージャグラーとして有名なマイケル・グードゥーの、リンゴ3個
をかじりながらのジャグリングそのままのパクリでした…ラスベガススタイル
のショーと銘打っていましたが、その意味がまさかこのリンゴであるならば…
シャレにもならない。

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