アストンマーティンDB12 登場

2023年はアストンマーティン110周年、DBモデル誕生75周年の節目の年。

この老舗メーカーは、第二次世界大戦後に同社を傘下に収めたディヴィット・
ブラウンがそのイニシャルを冠したDB1を登場させ、のちにDB5が映画
「007シリーズ」のボンドカーに採用されたことから世界的な人気を博する
ことになりました。

さて近年最も人気があったDB11(私もワンチャン乗りたいと思っていたので
DBXと迷いました)の後継として登場したDB12ですが、アストンマーティンが
「スーパーツアラー」と定義するほどのスペックを与えられました。

エンジンは4.0リッターV8ツインターボエンジン、0-100km/hm加速3.6秒、
最高速度325km/hを誇ります。
エクステリアはDB11よりも拡大されたグリルと鍛え抜かれたアスリートの
ような造形で、アグレッシブさを増しています。
インテリアではセンターコンソールのデザインが一新、インフォテインメント
システムも独自に設計・開発したマルチスクリーンモデルとなっています。
オーディオは壮大なリスニング体験を可能とする「Bowers&Wilkins」サラウンド
システムがオプションで用意されています。

世界の中でも日本市場を重視している証として、本国での発表と数時間の
タイムラグで5月25日に「アストンマーティン青山ハウス」で日本初公開され
ました。
DB12のベース価格は2990万円(オプション次第ですが、ボリュームゾーンは
3500万円程度では)、デリバリーは今年の第3四半期からとのこと。

ジャパンプレミアの模様は…コチラ

6月13日は福岡ショールームでローンチパーティー、その後15日まで展示予定
とのことです。

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四天王

四天王…元々は仏教用語で、帝釈天を中心に集まった四人の神々のことを
指し、ここから転じて四人の実力者のことを揃って、四天王と称する。

…とまあ、概要としてはそういうことなのですが、使い方としては昔の番組
ではものまね四天王がいたり、アニメやウルトラマンシリーズにおいても、
豹猫四天王や暗黒四天王などのように使われることで、その世界観に重みや
威厳をトッピングするのに重宝されているのだと思います。

私も好んで使うことがあります…まず「してんのう」という響きがいいですね。
数字も三でもなければ五でもない、あえての四…トップ4、ベスト4でもいい
のでしょうが、やはり四天王の文字構えと響きには重みがあります。

いちいち口に出したり表明するほどのことではないのですが、私は自分を
取り巻く森羅万象に対して密かに四天王を決める癖があります。
例えば腕時計コレクションの中での四天王、好きな服飾ブランドの四天王、
お気に入りの外食先の四天王…といった具合。(外食先は昨年一軒閉店した
ので、現在は三天王のままです)

ところで、プロマジシャンとしての人生を歩む中で最も重視すべき指標は
一般客の評価であり、それがあってこそ生活が成り立つわけですが…とは
言えマニアとしての功名心というのもあって、たとえお金にならなくても
世間での知名度が上がらなくても、同業者からの賞賛とリスペクトが欲し
くなるのがマジシャンとしての性なのです。
だからこそコンテストに多大なエネルギーを注ぐ時期もあるのでしょう。

しかし同業者の全てから好かれよう、賞賛されよう、リスペクトされよう
なんて土台無理な話です。(どんな世界でもアンチは存在します)
私はマジックに向き合う際のモチベーションを維持するために、頭の中で
勝手に決めた8人のマジシャンから認められればいいと思っています。
それは「先輩マジシャン四天王」と「後輩マジシャン四天王」の計8人。
つまり、「自分がリスペクトする4人の先輩から凄い後輩だと認められたい、
そして自分が凄いと思う4人の後輩から凄い先輩だとリスペクトされたい」
という理由で決めているのです。(あえて本人に告げることはありませんが)
この8人から認められさえすれば、マジシャン冥利に尽きるのであります。
逆を言えば、自分がどうでもいいと思っている人からは、たとえ否定され
ようが貶されようが構わないのです。

当然のことですが、先輩は増えないので4人はずっと固定されていますが、
後輩は増える一方なので時々入れ替わることもあるのです。(あくまでも
私の脳内でアップデートとシャフルされているだけです)

考えてみると、自分の実生活の中で最も頻繁に入れ替わる四天王は…
中洲のお気に入りのクラブ四天王ですかね。

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資格ビジネス?

「本年6月からはマジックショーで動物を使う場合は家庭動物管理士の資格が
必要になる」という情報が入って来ました。
動物を使うマジシャンにとっては死活問題になりかねないことですが、率直
な感想は、「はぁ? なんじゃそりゃ?」

まずその資格自体を知らなかったので調べてみると、全国ペット協会が認定
している制度で、ペットのプロの育成を目的として、資格取得者は全国の
ペットショップやペット関連事業所で活躍しているとのこと。
管理士3級を受験して資格を取得するのに4万円が必要で、2年毎の更新らし
いです。

将来ペット関連事業を始めることが目的ならいざ知らず、これはマジシャン
にとって「必須の資格」なのでしょうか?
ファイヤーマジックを演じる際に火薬類取り扱い保安責任者の資格が必要と
いうのならまだ理解できますが…早い話が単なる資格ビジネスではないのか
なと思います。

マジシャンがわざわざこの資格を取得するとしたら、その本心は営業依頼を
受けやすくするための「信用」として利用することが第一義で、いかにも権威
ある国家資格の雰囲気を醸し出して「しっかりしている感」をアピールしてい
るだけのような気がします。
何の影響力もない互助会的な組織の「正会員」みたいなもので、特にドヤ顔
するほどのことでもないでしょう。

まあ、このような資格ビジネスがまかり通る一因としては、動物に芸を教え
込むこと自体が「虐待」ではないのかという動物愛護の観点もあるのかもしれ
ませんが、それならば動物をショーで用いるマジックショーの他、サーカス、
猿回し、イルカやアシカの曲芸ショーなど、あらゆる動物系エンタメが包括
されてしまいます。

しかし、全国のマジシャンの演技をいったい誰が監視をして、誰が違反だと
判断するのでしょうか?
もし違反をしたらプロマジシャンの資格を剥奪するというのなら興味深いで
すね…なにしろプロマジシャンになるには何の資格も必要ないのですから、
何を剥奪するのかなと。

ある意味、マジシャンは失うものが何もない「無敵の人」なのです。

今後マジシャンになるために、あれこれと資格が必要な時代になるとすれば、
いっそのことそれらの資格を活かしてマジシャン以外の道で食べていく方が
安定しそうな気がしますが…。

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ギャラ交渉は苦手?

あらゆるものが値上げされる中、6月からは電気料金がさらに上がるようで
すが(幸い九州電力は今回の値上げはないようです)、それに呼応するかの
ように企業の給与もアップしている昨今(一流商社の初任給は軒並み5万円
のアップ)、マジシャンもギャラアップの交渉をしているのでしょうか。

「お金じゃない、夢だ笑顔だ感動だ」と宣う人は、物価の動向とは関係なく
生きていくことを是としているわけですから、特にこだわりはないでしょう。
マジックができて最低限度の生活費さえあれば十分幸せなのかもしれないし、
他に潤沢な収入源があって、マジックのギャラなんて眼中にないのかもしれ
ません。

マジックバーや飲食店で雇われている立場の人は、ギャラアップは言い出し
にくいのではないでしょうか…なにしろ主戦場であった飲食店もこの3年間
のコロナ禍で青色吐息だったはずですから。
都会の一部のマジックバーでは、できるだけ多くシフトに入れてもらいたい
マジシャンのレギュラー枠の奪い合いもあるようですからね。
マジックバーの一晩の報酬は、30年前からたいして変わっていないとも耳に
しますが、若手ならともかくいい歳になったマジシャンはどうなのでしょう。
生活のためではなく、自分のマジックを客前で試す機会として利用している
だけだ…という理由もあるようですが、それも一つの生き方でしょう。

また先輩マジシャンが安いギャラで出演した現場では、それ以上は要求しに
くいものです。
私も若い頃に何度も経験しました…「去年の〇〇さんはこのギャラでやって
くれましたよ」とか「うちは誰がゲストでもこのギャラなので」…等々。
こういうのはもう取りつく島もありません。

私の場合、どんなに努力してもギャラに反映されないこのような風習の現場
やイベント業者には早々に見切りをつけ、独自のスキミング戦略で開拓をし
てきたので、現在のマジックの市場には詳しくありませんが、俯瞰した時に
ステージもクロースアップもギャグまでもが似たり寄ったりの状況であれば、
誰にオファーをかけても変わり映えするはずもなく、ギャラが上がらない
のも頷けるし、仕事がより安いマジシャンに流れていくのは当然の帰結です。
他人を出し抜くことよりも劣って見られたくないがために、無難に同じような
演目に収れんしていくのです。(順位をつけない小学生の徒競走のようです)

昔から日本の文化として「お金は汚らわしい、お金の話をするのははしたない
こと」という風潮があったせいか、家庭でも学校でも学ぶ機会がなく、金融
リテラシーを欠いたまま社会人になる人がほとんどです。
プロを名乗って活動を始めたものの、消費税や源泉税もお構いなしで領収書
の書き方すら知らないどんぶり勘定のマジシャンもいますからね。
日本人は免疫のない状態で社会人になって初めて税金や金融の仕組みを知る
場合が多いので、投資詐欺に遭ったりひいては闇バイトに手を染めることに
も繋がるのではないでしょうか。

良い意味で「日本人はお金の話が苦手で、奥ゆかしい国民性」とされてきまし
たが、ビジネスライクに考えれば奥歯にモノが挟まったような交渉しかでき
ないことは、決して良いことではありません。
だからと言ってお金の話をするとすぐに「あいつは金儲けしか考えていない」
と清貧は美学とでも言いたげなルサンチマンから貶されることになります
が、妬み嫉みが染み付いた人種の遠吠えは無視するに限ります。

マジックのレパートリーを増やしてテクニックを磨いて待っていれば、誰か
が認めてくれて評価もギャラも上がっていくものだ(他力本願)と信じている
なら大間違いです。

他人のマジックを横目で見ながら横並びで合わせていく暇があるなら、金融
リテラシーとマジシャンとしての実力を向上させて、言うべきことは言わな
いと(自力本願)、ギャラは手付かずの永久凍土のままです。

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久しぶりの高速運転

3年ぶりに故郷の宮崎に帰省してきました。

福岡〜宮崎は空路では30分程度だし、マイルもエグいほど貯まっているため
当初は飛行機で帰省しようと思いましたが、今年はまだ一度も愛車DBXで
高速道路を走っていなかったので、混み合うGWを避けてツーリング気分で
弾丸日帰り帰省を決行しました。
先月末にメンテナンスに預けて、整備も万全にしておきました。

晴天に恵まれた5月10日早朝に出発して、市街地から福岡都市高速〜九州自
動車道へ…そして宮崎自動車道に入ってからは、前後に一台も見当たらない
貸切状態が続いたので、早速モードを「GT」→「SPORT」→「SPORT+」に
切り替えると、車高が下がってハンドルと足回りが硬くなり、パドルシフト
でメリハリのあるギアチェンジをしながらアクセルを踏み込むと、野獣の
ような咆哮と背中全体にかかる異次元のGに感動。
ステアリングは指先の動きがそのまま前輪を通して路面に伝えられているか
のようにダイレクトで、一瞬の遅れも感じないまさに「人馬一体」、パノラマ
ルーフの開放感とエアサスペンションがもたらす雲上の乗り心地でストレス
フリー…往復7時間(走行距離650km)のドライブを終えて帰宅しても疲れは
全く残っておらず、そのまま晩酌しながらの夜更かし。

DBXが納車されてすぐにアストンマーティンオーナーツーリングに参加して
初めて高速道路を走った時は、12台の隊列で走る緊張感もあったせいか、
そのポテンシャルを細部まで感じ取る余裕はなかったものの、今回の帰省
ではしっかりと体感できました。(しかしまあ燃費の凄いこと…こればかりは
目をつむるしかありません)

実はGW前にバッテリー警告灯が点灯したのでディーラーに問い合わせたら、
乗る機会が少ないことで容量が減っているのではないかとの回答が…。
思い返すと最近は街乗りばかりで一年半の走行距離は4000kmそこそこだし、
雨の日や狭い裏道を通る予定がある時はセカンドカーを使っていたし、福岡
不在の期間は全く運転しなかったからでしょうね。
今回の帰省でかなり充電できたはずだし、今後は警告灯が点かない程度には
乗るつもりですが、近年は帰省はもちろん、ちょっとした行動予定も告知を
しないことにしています。

その方針として、今年に入ってブログのメインタイトルを「Dr.ZUMAのお知
らせ」→「Dr.ZUMAのコラム」にひっそりと変更しております。
「お知らせ」というのは今後の行動予定やイベントの告知・集客を目的とする
時に使用するものですが、現在は告知や集客を必要としない完全クローズド
の出演に特化しているし、ブログの内容もマジックにおける考察や時事ネタ、
森羅万象を書いているので「コラム」とした方が相応しいのかなと思った次第
です。

さらに物騒な昨今、プライベートな行動予定を告知して、自宅を不在にする
ことや行き先を公言することはやめた方がよいと云われるようになった証左
として、「明日から海外旅行に出かけまーす!」とSNSで告知したばかりに、
空き巣被害に遭ったというケースも枚挙に暇がありません。
さらには一般人には関係ありませんが、政治家も選挙演説等で行動予定を
公表しているからこそテロリストに狙われやすくなるわけですしね。

閑話休題…

オーナーツーリングは隊列で走るのが醍醐味ですが、単独のツーリングは
自分のペースで走れる気楽さがいいですね。(特にトイレタイム)
あ、そうそう、帰省時のメインイベント…宮崎交通センター(宮交シティ)内
の「味のガンジス」にも立ち寄り、中高生の頃からのソウルフードである鉄板
ナポリタン(メニュー上の名称はイタリアンスパゲティ)も3年ぶりに食して
大満足でした。

ドライブを楽しんだ余韻に水を差すのが、5月に届く自動車税の納付書…
毎年のことだけど、油断しているところに届くと凹みますなあ。

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FIRE

FIREとはFinancial Independence Retire Earlyの略で、「経済的自立と
早期退職」という意味です。
巷にはFIRE関連本が溢れ(2年間で8倍増)、先日のNHK「クロースアップ
現代+」でも「私たちはなぜ働くのか 投資&倹約で生きるFIRE生活」
というタイトルで特集番組が放送されました。
FIREを達成した数人が取材に応じていましたが、皆さん不動産投資や株式
投資で数千万〜1億程度の資産を形成して勤め先を辞めて、家賃収入や配当
という不労所得での生活を実現しています。

そう聞くと、「きっと贅沢な暮らしをしながら遊んでばかりいるのだろう」と
羨ましく感じるかもしれませんが、富豪になったわけではありませんから、
利子を生む元手を取り崩さない倹約生活をしている人が多いようです。
例えば5千万を貯めて投資をしたとして年利4%では200万円、1億投資した
としても400万円ですから、利子だけでの生活は年収200〜400万円レベル
の暮らしということです。

各々のFIREを目指した理由としては、パワハラを受けたり、一定額以上の
昇給は見込めなかったり、やりたいことをやる時間と余裕がなかったり、
このまま働き続けることに疑問を抱いたり…等々ですが、共通しているのは
贅沢がしたかったわけではなく、「働くことに疲れた、絶望した」というどち
らかというとネガティブな理由が多いように感じました。
裏を返せば、そこそこの収入があって将来性とやりがいのある仕事に恵ま
れていたなら、辞めることはなかった人が多いのではないでしょうか。

番組の中ではFIREを達成した後の生活も紹介されていましたが、まさに人
それぞれでした。
平日からレジャーや旅行を楽しむなど、家族と過ごせる時間が増えて実に
生き生きとしている人もいれば、上司のパワハラから逃れたい一心で念願
のFIREを達成していながら、いざ働かなくなると、テレビや読書の日々を
送るうちに他人と関わることもなくなり、奥さんから「いつまでリビング
にいるの!」と邪険に扱われ、成長しない自分にも嫌気がさして、再び働き
始める人もいました。
やはり社会との繋がりを持って、ある程度は承認欲求を満たさないと生き
がいを感じられないものなのでしょう。

生活レベルとは関係なく楽しそうにしているマジシャンは(そう見えている
だけかもしれませんが)、やはり好きなことを仕事にしているという事実
が幸福度の高さの要因となっているのは間違いないでしょう。
「大好きなマジックで生活できるだけで幸せです」と公言する人、決して
珍しくありませんから。

しかしFIREを達成して働かずに生きることは意外とお金がかかるはずです。
テレビや読書やゲームをずっと続けるわけにはいかないので、刺激を求め
て外出すれば何かと出費をするし、時間があるだけにお金がかかる趣味
(例えばギャンブル)を持つと湯水のように浪費をしかねません。

番組を観終わって自分に置き換えて考えてみましたが、私は私自身をよく
理解しているつもりなので、もしFIREをやったとしたら暇を持て余して
夜な夜な中洲のクラブに繰り出しそうだし、物欲を満たし続けてあっと
いう間に元手の資産まで失う恐れがあるので、生涯に渡って可能な限り
働き続けるつもりです。(退職金もないし年金もあてになりませんしね)

お正月に今年の運勢を占う番組を観たのですが、それは星座と血液型と
の組み合わせで運勢を占うもので、自分の「牡羊座のA型」が発表される
まで待っていました。
そしていよいよ発表の時が…「次は牡羊座のA型です。やり残したことが
あるならば、今年再トライすればきっと上手くいくでしょう!」

しばらく考えました…今後読みたい本や尽きる事のない物欲はありますが、
正直言ってこれまでの人生で「やり残したこと」は一つもないのです。
ではやはりFIRE?…いや、やり残したことではないし、仕事が充実して
いればやる意味を見い出せないし、今のところはFIRE達成した人たちが
憧れの対象でないことは確かですね。


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緊急アナウンス

GW真っ只中ですが、久しぶりに行動制限なしのGWですから各地混雑して
いるようですね。

「急病の方がいます。お客様の中で医師の方がいたらお知らせください」…
飛行機内で、このような緊急アナウンスが流れるドラマのような場面に実際
に遭遇したことはありますか?
私は過去3回遭遇しています。(国際線と国内線で各1回、新幹線で1回)

JALによると機内で急病人が発生して「ドクターコール」が発生する事案は年間
約250件程度あり、このうち緊急を要するため航空機を引き返す事案も30件
前後あるようです。
症状としては失神や失神寸前の状態が37%、呼吸器の異常が12%、悪心や
嘔吐が10%などとなっているようですが、旅行で気分が高揚して多量に飲酒
をしたことが原因である場合も多いのではないかと思います。
実際に海外のマジックコンベンションからの帰路、後輩マジシャンが泥酔して
機内の通路に寝転がって顰蹙を買っているのを目撃したことがありました。

緊急事態に備えて、乗客として搭乗する医師に事前に登録してもらう制度を
大手の航空会社が始めたとの新聞記事を読んだことがありました…かなり前
の記事でしたが、あれってどうなったんでしょうね?
医師が登録すればカードに記録されて乗務員に伝わり、機内から専門医に
問い合わせができる体制を整えた他、医療行為を巡って患者側と事後の訴訟
になった場合に備えて保険にも加入することを条件にしても、医師は登録に
消極的である…という内容の記事でした。

そりゃそうでしょう…登録してしまうと、せっかくのプライベートな旅行で
あっても重責を感じて飲酒どころかリラックスすらできないでしょうからね。
一旦関わると人道的な圧もあって、空港で待機している救急車に同乗して、
搬送先の病院の医師に引き継ぎをしなければならない場合もあって、そうな
ると自分の旅行の日程も台無しになり、それに伴う諸費用も手出しをしなけ
ればならなくなったらどうしてくれるんだよって話ですよ。
おまけに医療行為の報酬に関しての明示もなかったと思いますが、この辺り
は医師個人の性善説に頼るということでしょうかね。

医師の側からしたら、学生時代から医師国家試験に備えて「全ての科」を勉強
して合格はしたものの、いざ医師になれば特定の専門科に従事して専門外の
疾患を診る機会はほとんどないので、機内で呼ばれた際に「専門外だから」と
いう理由で断りにくい上に「自分の知識で対応できるかどうか分からない」、
「法的責任を問われる恐れがある」との理由で尻込みして事前登録に消極的に
なるのは当然のことだと思いますよ。
僻地が医師募集をしてもなかなか赴任者が現れないのも似たような理由なの
でしょう。

一般人は「医師」という大きな括りでイメージしているので、どんな疾患でも
診てもらえると思いがちですが、必ずしもそうではありません。
マジシャンに例えるのも変ですが、カードやコインしか演じないクロース
アップマジシャンが「マジシャンなら鳩出してよ」とか「美女浮かしてよ」と
いきなりリクエストされるようなものです。
これも一般客からしたら「マジシャン」という大きな括りでイメージしている
以上、「当然できるだろう」と思っても仕方がないことなのです。

アメリカなどでは、機内での処置に故意や重大な過失がない限り、医師の
法的責任は問わないと明文化されていますが、厚生労働省は「民法に同じ
趣旨の規定があり、新たな法律は必要ない」(医事課)との見解を出しているに
過ぎないので、はっきりとした免責の法整備が整って明文化されない限り、
救命救急医療に従事した経験がある医師以外は、積極的に手を挙げる医師
は少ないでしょうね。

いくらアナウンスをしても誰も手を挙げない時は、引っ掛けで「お医者様の
中でお客様はいませんか?」とやれば、誰かがつい挙げてしまうかも。

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こだわりの小物

誰もが知るハイブランドの製品を所有すると、初めはテンションが上がる
ものの、服なども含めてロゴマークが悪目立ち(ロゴドン)すると、煩くて
他のものと合わせづらくなり、最終的にはブランド名をアピールしなくても
質感が良いものが欲しくなるという変遷を辿るものです。
(グッチのキャップにバレンシアガのTシャツを着てドルガバのスニーカーを
履いてヴィトンのバッグを持てば、立派な広告塔のピエロです)

私は長財布や小銭入れ、あるいはセカンドバッグやトートバッグ等…出か
ける際に持ち歩く小物に関して結構こだわりが強く、特にクロコダイルと
パイソンは同素材のセットアップで揃えないと気が済まないほどです。
(セットアップ病という確定診断がついています)

様々なブランドを所有してきましたが、近年は目立つロゴがなくても強い
オーラを放つ「あるブランド」のものを使う頻度が増えています。
それは欧米のブランドではなく、知る人ぞ知る国内ブランド…「池田工芸」

ホームページは…コチラ

クロコダイルは「ポロサス」という最高品質のスモールクロコダイルを使用し、
その製作技術と相まって、ふっくらした丸みと艶のある斑には別格の美しさ
があります。
いずれの製品も「大人の男」に相応しい貫禄とオーラを備えていますが、一歩
間違えるとオーラどころか「オラオラ系」にも見えなくもないので注意が
必要です。

その池田工芸からクロコダイル×パイソン「ラグジュアリーレザースニーカー」
が発売されました。
ナチュラル、ブラック、ホワイトの三色展開で限定生産なのですが、実は
数年前からナチュラルカラーで同柄のトートバッグを使用していたために
セットアップ病が再発、約一週間に渡る闘病の末、病に敗北してオーダー
してしまいました。

スニーカーのページは…コチラ

6月15日頃から順次発送とのこと。
まあオーダーしてしまったものは仕方がないと開き直りつつ、オラオラ系
マジシャンにだけはならないように注意しながら、届くのを楽しみにして
います。
はあ、物欲は尽きまじ…

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気になるクルマ

2023年4月14日〜16日に幕張メッセで開催されたオートモビルカウンシル
において、めっちゃ気になるクルマが出展されました。

「フータン グランド アルバイシン」…1991年にスペインのサンタフェで設立さ
れた少数生産の自動車コーチビルダーがハンドメイドで製作したクラシカル
な出で立ちの高級スポーツカーです。
なんと現行のマツダ ロードスターのスペイン仕様(左ハンドル)をベースにした
カスタマイズモデルです。
つまりメカニックは安心の日本製で、外見は独特のレトロ感が漂うスペイン
テイスト。
ボディカラーやシート素材、縫製やバイピングなどはオーダーメイドで自分
好みにカスタマイズすることで、世界に一台、自分だけのクルマを製作する
ことが可能なわけです。
セカンドカーで所有できたら最高だな…と思いましたが、価格帯は絶対的に
メインカーの領域なので怯んでおります。
しかし、この艶めかしさはたまりません。

ホームページは…コチラ

近年はSUVの人気が高まっており、ロールスロイス、ベントレー、ポルシェ、
アストンマーティン、マセラティ、ランドローバー、ランボルギーニなどの
ラグジュアリーブランドがフラッグシップとなるSUVを市場に投入して覇権
を争っています。
そしてついに、真打登場とばかりにフェラーリがSUVを発表しました。
その名は「フェラーリ プロサングエ」(フェラーリ自体はSUVとは認めておらず、
初の4ドア4シートモデルと定義しているようですが、どう見てもSUVです)

ホームページは…コチラ

5000万円という価格にもかかわらず、発表と同時に現車も見ずに世界中の
セレブがオーダーしているようで、その流麗なスタイルやスペックは流石
フェラーリだなと思っていましたが、最近ネットや専門誌で見る度に何か
違和感や既視感を覚えるようになりました。
このモヤモヤは一体何なのか…やっと分かりました。
トヨタの新型クラウン スポーツにそっくりなのです。
今やネットでもツッコミが増えています。

その記事は…コチラ

最近のヘッドライトはLEDが多用されて、小さくても十分な光量を確保でき
るためにデザインの自由度が向上して、線のような目をした顔のクルマが
増えているわけです。
ヘッドライトだけではなく、グリルの形状も大きく影響します。
マセラティの新しいSUVグレカーレとホンダのZR-Vもよく似ていますね。

実用性よりも嗜好性を重視して選んだクルマであればこそ、他の車種と
間違われることは勘弁してもらいたいところです。

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見限る勇気 2

前回は時代と年齢とコンプライアンスの変化と共に、マジシャンとしての
レパートリーの一部を見限る勇気が必要なことについて書きました。
そしてもう一つ、プロフェッショナルを標榜する上で大切なことがあります
…それは、自分の居場所を見限ること。

例えば、歌手には生涯歌い続けたい歌があるように、マジシャンには生涯
演じ続けたいアクトがあることでしょう。(もちろん私にもありました)
違う芸能を同じ切り口で語ることには無理がありますが…歌手における誰も
が知る全国的なヒット曲とは違って、誰もが知るマジシャンのアクトなど、
残念ながら無いに等しいのが現実です。
得意のアクトを長年に渡って演じ続けても、世間的な知名度も収入も上が
らず、その価値や拘りを理解してもらえずに忸怩たる思いをすることもある
でしょう。

ですからマジシャンは報われていないと感じると、自分の演技の価値を認め
てくれるマニアが集う場所に戻って行くのです。
これは帰巣本能というべきなのか、ショービジネスの世界での戦いに疲れる
と、やっと卒業したはずなのに、コンベンションという心地良い実家への
里帰りが我慢できなくなるのですね。
あるいはOB顔して母校に凱旋するような感覚でしょうか。
里帰りを我慢していた期間が長いほど、リバウンドも激しいことでしょう。
ただし戻った当初はちやほやされても、いつまでもそこに居座ると「老害」と
陰口を叩かれるようになるので、長居は禁物です。

歌手を始めとするほとんどのエンタメには、寂しい時にいつでも戻れるよ
うな「マニアだけの村」はありません。
翻ってマジシャンにはそれがあるからこそ、つい甘えてしまうのかもしれ
ません。
そして甘えが高じると、それまで一般社会に向いていた訴求力は加速度的
に衰えて、いざ自身のショーを開催する際も同業者やマニアやアマチュア
をあてにしてチケットをさばいてもらったり、集客をお願いするように
なってしまい、客席はいつも村の住人ばかりという顛末が待っています。
そうなると、「アマチュアに生かしてもらっているプロ」という典型的構図が
完成するわけです。
この世からマニアやアマチュアが一人もいなくなれば生命維持装置を失う
も同然で、果たしてどれだけのプロが生きていけるのでしょうか?

大上段に構えて、いかにプロフェッショナルを自認しようが、最終的には
「客席のマニア率や身内率」がそのマジシャンの「本物のプロ度合い」にリンク
しているような気がします。

ショービジネスの世界…第一線に立ち続けて安定した収入を稼ぎ続けようと
思えば、その厳しさは若い一時期にマジック村のコンテストで受賞すること
の比ではないことは論を俟ちません。

自立したプロに脱皮するには「村を見限る勇気」も必要です。

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